旅立ちと出会い 1
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この小説は今から数年前に隠し小説として公開していたものです。
それを今回リメイクしました。
リメイクといってもキャラ設定が定まっていなかったリムライム
の設定がほぼ定まったのせその修正を入れた程度です。
あと、この小説ではイピリアとエリアルは結婚してますw
決してエリアルがロリコンでイピリアに手を出したという事ではありません。
結婚の経緯を知りたい場合にはぎふまでお声がけください。



今から30年後のお話・・・

ここはグラン塔の某所・・・・・
ある夫婦の住まい・・・

ギィィィ・・・・

書斎の木製扉がきしみながら開いた
そしてその扉から1人の女の子が首を覗かせる
黒色のショートヘアに紅い瞳、右腕には金色のブレスレッドを身につけ
グレーのトップスに深緑色のズボンを履いている。
その女の子は扉を開いた場所からキョロキョロと部屋の中を見渡している

「パパいないっとw」

誰もいない事を確認すると部屋の中へと入ってきた
女の子の背丈は小柄で、年齢は今年で12〜3歳位であろうか
女の子は書斎に入ると急いでドアを閉めた
そして辺りを見渡して人気がないのを再度確認した
再度人気が無い事を確認し終わるとゆっくりと本棚のある方向へと歩く
女の子の進んだ先には木製の大きな本棚がある
その本棚には数多くの魔法書等が並べれており、その数は1000冊をゆうに超えていた。
『人化の方法』・『魔道兵器辞書』・『ヴァーユ観察日記』等など・・・

「どれを今日は読んでみようかなぁ・・・・」

本棚を物色していると本棚の上に何かあるのに気がついた。

「なんだろう・・・・」

女の子は背伸びをして本棚の上を覗いた。
だがまったく見えない・・・
仕方なく少し後ろに下がって覗いてみた。
するとそこには見たことの無い本が置いてある。

「あれ?この本知らない・・・」
「なんだろう?パパの秘密の本かな」
「まさか!パパとママの交換日記だったりして!」
「いや、もしかしていやらしい・・・」

女の子はその本に興味がわいた
そして見たくって見たくってたまらなくなってしまった。
そしてなんとかその本を取る方法を考える・・・

「えっと・・・どうやったら取れるのかなぁ」

女の子は一生懸命考えた・・・
そしてなんとなく部屋の中を見渡すと・・・・
部屋の隅に椅子を見つけた。

「よし、あれを使おう!」

女の子は書斎の中にあった椅子を本棚の横に持ってきてその本に手を伸ばした

「よいしょっと・・・」
「もう少し・・・」
「ううう・・・・よし!取れた!」

茶色く煤けた本を手にとった女の子はひょいと椅子から飛び降りた。
そしてその椅子に腰掛けて本の煤を払った・・・

「わくわく・・・なんだろう・・・・・」
「えっと・・・何?『禁術時空魔法大全書』?」

がっくり・・・・普通の魔法書じゃん・・
期待した私が馬鹿だった・・・

「パパってこういう感じの難い本しか持ってないのかなぁ・・・・」
「すこしは遊び心もあっても良いと思うよ!私は!」
「ま、いいや!ちっと読んでみよっと!」

そう言いい、女の子は本をぱらぱらと捲った
この女の子の名前はリムライム
イピリアとエリアルとの間に出来た1人娘である
リムライムの名前の由来は・・・・
母親のイピリアがリムちゃんが良いと言った
父親のエリアルがライムちゃんが良いと言った
そして両方の名前をつけた・・・
なんという安直な・・・・
結構かわいそうな名前の付け方であるが・・・・
本人は気に入ってようなので良いとする

そんなリムライムは母親のイピリアの幼かった頃に外見はそっくり・・・・
(髪型や瞳の色は父親似)
だが、性格は全く似ていなかった・・・・
イピリアが内気なのに対してリムライムは活発!
いや、おてんばという表現が正しいかもしれない・・・
そんなリムライムは最近エリアルの書斎がお気に入り
毎回見つかって父親であるエリアルに叱られてしまうのに
今日もまた入り込んでいた

「うーん・・・・この本ムズカシすぎ!」

リムライムは先ほど棚の上から取った本に書かれた内容を理解できずに
一人で怒り出した。

「パパの馬鹿!」
「この本面白くない!!」

その発言と同時に書斎にエリアルが入って来た!
エリアルは30年経ったにもかかわらず、全く容姿に変化はみられない
変わった所と言えばあの紅いバンタナをしていない所だろうか
エリアルは部屋の隅にいるリムライムを睨んだ
リムライムはエリアルと目が逢うと硬直してしまった・・・・

「う・・・パパ・・・・」

エリアルはちょっと怒った表情でリムライムに言った

「リム?誰が馬鹿だって?」
「それにここには入るなと言っただろ?」
「あとその格好!もっと女の子らしないとダメだろう」

「い、いいじゃん・・・別に私の勝手でしょ!」

「しかし・・・何度もパパの部屋に入るなんて何やってるんだ?いつも」

「あ、いや・・・あの・・」

リムライム完全に動揺していた

そしてリムライムはゆっくりと本を後ろに隠すと一目散に逃げ出した!

「に、逃げろ!!」

すごいスピードでエリアルの横をすり抜ける!!

「ふん!パパになんか捕まらないもん!」

その瞬間!!

「キャー!」

ビリビリ!!!!!
リムライムの体に激しい痺れが!!
リムライムの体は完全に麻痺してしまった・・・

「こ、自分の子供に・・・魔法・・・トラップ・・・・って・・・・卑怯よ!」

エリアルはニヤリと笑うと硬直したリムライムの頭をぽんぽんと叩いた

「あはははははは」
「甘い!甘いな!」
「パパの書斎に不法侵入したんだぞ!捕まって当たり前だ!」

麻痺した体でなんとか逃げようとするリムライム・・・
その姿を見たエリアルはつんつんとリムライムの背中をつついた。

「きゃ!」

ドテ!

するとリムライムはその場にコケてしまった・・・・
リムライム観念したようで半べそをかきながらエリアルに謝った

「パパァ・・・ごめんなさい・・・うえぇぇん」

この後2時間の間、リムライムはエリアルに怒られ続けた

そしてその日の夕方・・・・

「リムちゃん!ご飯出来ましたよ♪」

母親のイピリアがリムライムを呼んだ
イピリアは某事件後、グリアのバンタナの力によって完全な人間体になった
そして急成長して精神も容姿も20歳位になってしまったのだ・・・
それから数年後に想いを寄せていたエリアルと無事ゴールインを果したのだ

「リムちゃん♪ごはんよ♪」

だがリムライムはダイニングには来る気配はない
イピリアはリムライムの部屋の方を覗き込んだ

「リムちゃんどうしたのかな?」
「イピ、そのうちくるからほっとけ」

既にダイニングの椅子に腰掛けていたエリアルがぼそっと言った
しかしイピリアは気になって仕方がない・・・・

「うーん・・・ちょっと部屋まで行って呼んできます」

そう言ってイピリアはリムライムの部屋の前までやってきた

ドンドンドン!

「リムちゃん?ご飯よ?」

まったく返事はない・・・

ドンドン!

「リムちゃん?」

返事はない・・・

「ごめんね・・・リムちゃん、入るわよ?」

イピリアがドアを開けようとした。
ドアノブに手をかけた時!

ビリビリ!

「きゃー」

イピリアの腕に電撃が走った!

「け、結界!?」

イピリアの顔色が一気に青くなってゆく!

「リムちゃん!!!何してるの!!!」
「出てきて(;;」

だがまったく返事はない・・・

リムライムの部屋の中・・・

「あ!ママ・・・・」
「ママが結界にひっかかっちゃった・・・・」
「もう・・・パパのせいだ!!!」
「あ!待てよ・・・きっとパパを呼んでくるはず・・・」
「急がなきゃ!!!!」

リムライムは何かをしていた

***********ダイニング***********

イピリアは慌ててエリアルを呼びにダイニングに戻った
エリアルは食前のコーヒーをっゆっくりとすすっている・・・

「パパ!リムちゃんが!!」
「リムちゃんが大変なの!!」

「ん?どうした?」

「リムちゃんが結界を自分の部屋にかけて!!!!」

「ぶ!」

エリアルはおもいっきりコーヒーを溢した!!!

「あちいいいいいいいいいい!!!」
「な、何だって!?結界だと!?」

イピリアはこくこくと頷いた

「結界魔法は俺は教えてないぞ!!!」
「何時の間に覚えたんだ!!!!」

イピリアはおどおどしている

「リムめ!何を仕出かす気だ!!」
「イピ、行くぞ!」

エリアルとイピリアははリムライムの部屋へと急いだ!

その頃リムライムの部屋・・・

「パパの馬鹿!!!!家出してやるから!」
「ママ・・・ママは悪くないんだよ・・・」
「パパのせいで!!!」
「ぶつぶつ・・・・・」
「まぁいいわ・・・続き・・・」

リムライムは先ほどエリアルの書斎でみていた本を自分の机に広げていた
そしてその本を一生懸命に解読しながら何かを用意している

「えっと・・・これかな・・・」

開かれている本のページには『瞬間転送魔法』と書かれている・・・

「パパ!見てなさいよ!」
「私だって!パパの部屋でいろいろ魔法の勉強したんだから!」
「この魔法だって・・・使えるかもしれないもん!」
「もう!驚かせて困らせてやるんだから!!」
「でも・・・ママ・・・ごめん・・・心配させちゃう・・・・」
「すぐ戻るからね!」

リムライムは本の続きを読んだ

「えっと・・・まず下準備として・・・・魔方陣を図のように書く・・・」
「この絵を参照にって・・・・」
「私・・・・絵が描けないのよね・・・・」
「まー適当でいいや!」

リムライムは床に魔方陣?らしきものを書き始めた

キュキュキュ!!!
キューーーー
ギュ!!!

「これで・・・」
「うーん・・・これって魔方陣なのかしら・・・」
「まぁいいわ・・・魔方陣って事にしとこ♪」

リムライムは机の上に広げてあった本を今度は手に持った

そして両手で本を広げて読んだ

「でもって・・・・中央に立ち・・・・」
「呪文を詠唱しなさいっと・・・・」
「え?こんなんでいいんだ・・・・結構簡単じゃないの!」
「呪文は次のページっと・・・・」

ドンドンドン!!!

「リム!開けなさい!!!」

ドアの外からエリアルの声が聞こえた

「や、やばい!パパが来ちゃった!!」

リムライムは本のページを慌ててめくった

***********ドアの外***********

「イピ、大丈夫、この結界は低レベルな結界だから10秒で解除できるよ」

エリアルがそういうとイピリアはほっと胸をなでおろした・・・

「でもパパ、早くあけて(><」

「イピ、ちょっと下がっておいてくれ・・・」

イピリアはエリアルの後ろに下がった

「リムめ・・・少しは進歩しやがって・・・・」
「ちゃんんと勉強すれば魔法の資質があるだろうになぁ」

エリアルは結界解除呪文をドアに向かって唱え始めた・・・・

リムライムの部屋の中・・・・

「あの結界じゃパパには簡単に破られちゃう(><」

リムライムはページの中の呪文がかかれた文を探した

「呪文・・・呪文・・・・」

その時!

バタン!!!

リムライムの部屋のドアの結界が解かれた!

「や、やばい!」
「じゅ、じゅ、呪文!!!!あったぁぁぁ!!!」

エリアルとイピリアがリムライムの部屋に入ってきた!
そしてエリアルは床に書かれた魔方陣とリムライムの持っている本を見た

「リ、リ、リム!その本は!!!」

リムライムはエリアルの声にも耳を傾けむけずに呪文を詠唱した!

「古よりの力、空間に漂う次元の扉よ我を古の地へと導かん・・・」

《えっと・・・次は・・・・》

エリアルはリムの唱えた呪文を聞いた瞬間に激しく動揺すると同時にリムライムに怒鳴った

「リム!その呪文は駄目だ!それは時空転送呪文だぞ!」

だがリムライムはその声が聞こえる瞬間に呪文詠唱を終えていた。

「えっと・・・これか!」

『禁術!時空転送術!』

リムライムは本の続きに目がいった・・・・

《間違ってもこの呪文は通常は唱えないで下さい・・・・》
《この魔法が詠唱者を過去へと転送します》
《え!過去!?うわーん!先に言ってよ!(;;》

エリアルは魔方陣を瞬間的に消し去ったがもはや詠唱は完了されている

く・・・リム、王家の血よ・・・・時空魔法よ発動しないでくれ・・・・

呪文詠唱を終えるとリムライムの体は激しい光を帯びた!

「リムちゃん!?リムちゃーん!あわわ・・・」

「パパ!助けてパパ!」

イピリアはあわふたするばかり・・・・

「何!?魔法が発動しただと!」

ま、まさか・・・・リムにもグラン王家の血が残っていたのか・・・

《うぇぇぇん》
《パパ!ママ!助けてぇ(;;》

「リム!待ってろ!絶対助けてやる!!!」

エリアルは瞬時に結界解除魔方陣を描くと解除呪文を唱える!

「時空魔法!時空解除・・・・・・」

ブゥゥゥゥゥン!!!!

《パ・・・・パ・・・・》
《マ・・・・》

キュウウウン!!!

「パパ!リムちゃんが!リムちゃんが消えちゃうよー(;;」

・・・・・解除呪文が効果発動する前にリムライムの姿はそこから消えてしまった・・・

「間に合わなかったか・・・・」

エリアルはがっくりと膝を落とした・・・・・・
そしてイピリアはその場に泣き崩れた

「リムちゃんが・・・リムちゃんが・・・・」
「えっくえっく」
「パパ、リムちゃんを助けて・・・・」

もちろんエリアルはりムライムを助けてあげたかった
しかし、時空転送術は高等時空魔法・・・・
リムライムのレベルで運良く成功してしまった場合は行き先など解らない
ましてや解ったとしても行き先がわからない
1年前なのか100年前なのか・・・・
エリアルはリスクを負ってまで時空転送術をするべきではないと判断せざる得なかった
例えリムライムのいる時代に転送できても2人が確実に戻ってこれる保証もない・・・・
戻る時も時空転送魔法の詠唱が必要だし、100%の成功率が必要になるからだ

「イピ・・・ごめん・・・俺は・・・」

エリアルはそれ以上何も言えなかった・・・・
イピリアは一晩中泣いていた・・・

*********************** 30年戻って現在 **************************

ここはピスキー牧場

「ぎふたんは今日は来ないんかな・・・・」

ピスキーが焚き火で暖をとりギフを待っていた・・・
先ほどまで居たカミュやトモカズはもう家へと帰ってしまった・・・
そして1人ぼっち・・・・

「今日はまた雪が降りそうな空なん・・・・・・」

ピスキーは曇った空を見上げた

「雪ふるんかな・・・・」

その時・・・・
曇ったそらからふわりふわりと雪が降ってきた・・・・

「うぁ・・・早速降ってきたん・・・・・」
「結局ぎふたんは戻ってこなかったん・・・」
「ぐすん・・・寂しく一人で家にはいるん・・・」

ピスキーは家の中へ入ろうと焚き火とは反対を向いた
その時!

ヒューーーン!

ドサ!!!!

ピスキーの目の前に何かが落ちてきた!!!

「Σ」
「何なん!!!」

慌てて落ちたものを確認すると・・・
女の子に見えた・・・・

「ん・・・・今日は曇りのち・・・人?」
「そんな訳ないん!」
「きっと気のせいなん!!」

ピスキーは目をごしごしと擦った・・・
そして再度確認・・・・

「・・・・・・女の子に見えるん・・・・」
「きっと疲れてるん!きっとそうなん!」

その落ちてきた物を再々度確認・・・

「やっぱ・・・女の子に・・・」

黒の髪に赤い瞳・・・・
金のブレスレッド・・・
どっかで見たことあるような容姿
女の子は気を失っている様子だった・・・

「この子どっか見たことある気がするん・・」
「えーと・・・・」
「そうなん!!イピ!?でも違う?でも感じが似てるん・・・・」

と言ったもののどう見てもイピリアではない・・・
髪の色も違うし服装も違う
だいたいイピリアはまだ5歳・・・・
落ちてきた女の子は12〜13歳くらいか・・

「ともかく・・・家の中に運ぶんね・・・(−−;;;;」

ピスキーはえっこらえっこらとその女の子を家の中に運び込んだ
そしてベットに横にさせた・・・・

「・・・・・」
「なんだろう・・・・この感じ・・・・・まるでイピなん」
「この子は何者なん・・・・」
「ぎふたんが帰って来たら聞いてみるん・・・・」

ピスキーは女の子に毛布をかけてあげた・・・
その時・・・

「パパ・・・ママ・・・ぐすん・・」

女の子が一粒の涙を流しながら寝言を言った・・・

「この子・・・・迷子なんかな・・・・」

こうしてグラン塔の夜は更けていった・・・・・

続く(続くのか!!!
(いや、続かないかも
2008年10月現在
という事で結局続いてませんw







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